人の話を“聴く”

仕事としてインタビューをするようになって、20年以上が経ちます。最初はテレビ局の番組制作ディレクターとして、後にライターとして主に文字でのアウトプットを想定したインタビューを重ねてきました。

定められた時間の中で、訊くべきことを訊いたうえで、誰にも明かされたことのない本音を少しでも多く″聴き”たい。それが対面取材の場を任されたライターとしての使命だと考えて現場に臨みますが、何千回と経験してもインタビューは常に難しく、取材前には緊張し、終われば自己嫌悪に陥り反省します。

インタビューの最中に「楽しい」と思えることはほぼなく、もがき苦しむような感覚がほとんど。心身が激しく疲弊します。それでも、最終的にまとまった文章の形に仕上げた時には、大きな充実感と他では得られない喜びがあるのです。

インタビューという取材形式で人と向き合う中で、自分は何を感じ、学んできたのか? これまでを振り返り、忘れないうちにできる限り記録しておきたいと思います。