亡き祖父

年を重ねてなお、心の拠り所となっているものの一つに、亡き祖父母との想い出があります。
今日は祖父の命日で、子どもの頃の記憶を辿っていました。

カメラと本が好きだった祖父。
『マッチ売りの少女』を読み聞かせてくれながら、
「なんだか声が変だな…?」と思ったら、
物語に入り込んで泣いていたこともある、優しくて、とても真面目な人でした。

戦時中はラバウルに派兵されていて、戦争の影響で幼い子も亡くし、
大変な苦労をしたはずだけど、それについてはほとんど何も語らなかった。
言葉はなくとも、
孫に愛情を注ぐという行動に人生観が表れていたのかもしれない、と今は思います。
それでも、もっと訊いておけば良かった。


寂しい少女時代をずいぶんと救ってくれた祖父母でした。
今は逢うことができなくても、きっとどこかで見守ってくれているはずだ、
と想像すれば「大丈夫だ」と感じられる。
そんな存在を心に抱き続けることは、
意外と無視できない、大きな支えとなっているのかもしれません。

花を育てるのも好きだった祖父。鳥が飛んでくるのを窓辺で楽しみに眺めていました